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2024年8月19日 (月)

設問7 統合失調の人が見たり聞いたりする「幻覚」は、本当に存在するものを、見たり聞いたりしているということですか?

設問7  統合失調の人が「憑依」の影響を受けているということは、統合失調の人が見たり聞いたりする「幻覚」は、本当に存在するものを、見たり聞いたりしているということですか?

 

回答 限定つきだが、これも基本そのとおりである。ただし、統合失調の人は、それまでに経験のない不安と怖れに満ちた状況にあるので、そのような「感覚」をまともに見極めて、表現することは難しい。それで、その表現は、いくらかの歪みを受け、結果として、そのまま受け取る限り、明らかに「誤り」とされるようなものになってしまうのである。

 

解説 これも、かなりの限定をつけてですが、基本そのとおりということになります。

統合失調の人は、周りの人には、明らかな誤りと思われるような幻覚を訴えて来ることが多いです。しかし、それは単なる「誤り」ではなく、実際に存在する何ものかを感覚していて、それに基づいて、その統合失調の人なりに、「真実」と思われることを表現したものなのです。

具体的に例をあげて示していくことにしましょう。

たとえば、統合失調の人にとって最も典型的な幻覚は、幻聴で、道行く人などが、自分にかけてくると感じられる、嘲笑的だったり、避難を帯びた言葉()だったりします。それも、単に、何の脈絡もなく、無意味にかけて来るのではなくて、たとえば、自分が気にしていたり、しようと思っていたことなど、心にあることと関連することを、ついて来ることだったりするのです。

そして、その「声」は、通常の視覚や聴覚とほとんど同様、またはそれ以上の確かさ(強烈さ)をもって感じられるものです。しかも、それは、何か逆らい難い、特別の力を帯びたもののように感じられます。無視しようとしても、難しく、どうしても捕らわれてしまって、そのことが心から離れなくなります。

そういうことが、たまにとか、単発にではなく、ほとんど日常的に、頻繁に繰り返されるのです。なので、統合失調の人は、そのような「声」が真実の声であることを疑うことが、難しくなります

統合失調の人の訴える「幻覚」(人の声)は、その人の表現のまま受け取る限り、「誤り」であり、「真実でない」ことは確かです。例えば、「道行くAという人物が、何々という声をかけて来る」と表現された幻聴は、実際には、Aという人物は、そのような声はかけておらず、その意味では明らかな誤りとなるのです。

ところが、そのAという人物の声とされる「声」そのものは、実際に存在していて、統合失調の人は、それを現実に目の前にしているAという人物の声と混同しているのです。

統合失調の人も、(バカではないので)「声」そのものは実際に存在しているからこそ、それを否定しようにも否定できず、それに捕らわれて、振り回されるほどのことになるのです。また、周りの人がどのように言っても、それよりも自分自身の「確かな」感覚の方を信じて、それを拒否してしまうのです。

単に、自分の頭の中だけに聞こえる(自分の頭が作り出している)とか、心の中だけにあるというものではありません。

ただし、「実際に存在する」と言いましたが、それは、物理的に存在しているということではなくて、やはり、一種の「見えない」「霊的な」領域に存在するものです(他にいろいろな言い方がありますが、以後「霊的な領域」ということで統一します)。この点は、これまでの科学の見方や近代社会の常識と反するので、もっと詳しく、根拠をあげながらみていく必要がありますが、ここでは、まずは、典型的な例を通して、統合失調の人の訴える幻覚というものの、少なくとも基本には、本当に存在するものがあることを押さえてもらうことが重要です。

しかし、統合失調の人も、それまで近代社会の常識の中で生きていた人なので、いざ自分がそのような異様な、特別の声を聞くなどということに見舞われたとき、とても、そんなことは信じることができないのです。あるいは、恐怖のために、そのようなことはあってはならず、とても、受け入れ難いのです。

そこで、統合失調の人は、このような感覚(声)を、霊的なものとか、何か未知のものなどとは解さずに、でき得る限り、それまでの現実に実際に存在するものの延長上に、解しようとします。それで、その感覚()を、実際に存在する道行く人に結びつけて(感覚としてもそのように思えるものがあるのは事実なのですが、なぜそうなるのかについては、後に述べます)、その者の声として、受け取ってしまうのです。

さらに言うと、統合失調の人は、既に、様々な不安や恐怖から、自分で自分の思考がコントロールしにくいような、混乱した状況にあるので、どうしても、起こっていること(感覚)を、冷静に見極めることは難しいことになってしまいます。

それで、元々の感覚には、本当のものがあったとしても、それはいくらかの歪みを受けて表現され、周りの者からみれば、明らかに「誤り」というものになってしまうのです。

これも、後により詳しくみますが、このようなことは、より「解釈」の要素が占める「妄想」になると、ますます大きくなり、誰が見ても、「誤り」としか思えないような信念を確信してしまうことになるのです。

そういったことから、まずは、統合失調の人は、基本には、本当に存在する感覚がありながらも、その表現された形態をそのまま受け取る限り、「誤り」になってしまうような、幻覚と呼ばれるものを見たり、聞いたりしているのだということを、押さえてほしいと思います。

 

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