« 設問4 精神医学も様々な観点から原因を探って行った結果、特定の原因を見つけることができなかったので、身体または脳の病気ということに落ち着いたのではないですか? | トップページ | 設問6 「統合失調の原因の重要な要素は憑依現象である」ということですが、どのような意味で、「重要」なのでしょうか? »

2024年8月12日 (月)

設問5 近代以前の見方である、「精神病は憑依現象である」という見方の方が、正しいということなのですか?

回答 限定つきだが、そのとおりである。統合失調の原因は一つではないが、その重要な要素が、「憑依」現象によると言い得る。近代の精神医学は、そのような見方を、当然に排除するからこそ、統合失調の原因の主要な要素を、見逃しているのである

解説 これも、ある意味というより、限定つきになりますが、そのとおりです。

近代以前のこのような見方は「迷信」であって、だからこそ近代社会は、そのような見方を排して、「合理的」な科学的な方法で「病気」に対処することにしたのだという、一般に行き渡っている理解をしていると、このようなことはとても信じ難いことでしょう。

しかし、「憑依」現象なるものが、科学的に否定された(ないものとして証明された)ことなどは、一度もないし、現に現在でも、多くの文化が「憑依」現象を信じていて、日本においても、伝統的に信じられて来た「憑依」現象を信じる人は、多くいます。

そして、現在でも、霊能者等、それを明白に体験する人が多くいますし、私自身、統合失調の体験において、明らかに「憑依」現象と言うべきものを、ずっと体験して来たのです。

いずれにしても、「憑依」現象という、それまでの文化で信じられて来た見方を、当然に排除することはできないし、それを排除することを前提にすることで、統合失調の原因を探ることに、大きな制約をもたらしていることは、これまでの設問で見て来たとおりです。

実際、これから詳しく見ていくように、「統合失調」の原因のかなり重要な要素が、「憑依」によるとみることは、確かにできるのです。従って、それを排除したのでは、「統合失調」の原因として十分納得できるものが、見出されるはずがないのです。

ただし、「憑依」という言い方は、とても曖昧で漠然としていて、捉え難いのは事実です。

一般に、何らかの存在(見えない「霊的存在」)に、身体を乗っ取られるような状態を言いますが、必ずしも、乗っ取られるまで至らなくとも、そのような存在に影響を受けて、身体や思考の自由を奪われることはいくらもあるし、そのようなものも、「憑依」と呼ばれることがあります。

「統合失調」においては、全面的に「乗っ取られる」というようなことはほとんどなく、その強い働きかけにおいて、大きく影響を受けて、身体や思考の自由を奪われている状態ということができます。そして、そのような場合をも、「憑依」と呼ぶことができるならば、確かに、「統合失調」の原因の重要な要素が、「憑依」によると言うことができるのです。

あるいは、「憑依」する存在ということでも、様々なものが想定でき、それによって、「憑依」の性質も大きく変わります。必ずしも、悪意を持って影響を与えるのではなく、善意で、保護的な働きをするものもあります。「統合失調」の場合は、かなり明白な悪意をもって、積極的に働きかける存在の影響が顕著だということが言えます。

今回は、冒頭の設問に答えることを目的に、「憑依」について、ほんの概要を説明するだけなので、そう言える根拠や、その詳しい状況は、おいおい明らかにしていきます。

ただ、「統合失調の原因」というとき、それは一つではなく、様々な原因が複合的に重なって作用するし、また一見一つの原因のようでも、それは様々な観点から複合的に見られ得るということを確認しておくことは重要です。

ですので、私は、「統合失調の原因が、<憑依>現象に尽きる」などと言うのではありません

たとえば、「憑依」を受けやすい性質(霊媒体質などと言われる)というものがあるとして、それには、身体の様々な状態や、遺伝的な性質も作用します。「憑依」と言う現象においても、身体レベルの「原因」を様々にあげることはできるということです。

あるいは、「憑依」現象は、脳においても、強い作用を受けていますので、脳に様々な「異常」が現れることは、当然考えられます。だから、脳のレベルにおいても、様々な「原因」を見出すことは、できないことではありません。

従って、「統合失調の(重要な)原因は、<憑依>である」と言っても、それは、精神医学のあげる、身体や脳の原因、あるいは、精神病理学や精神分析などのあげる主観的、無意識的な原因を「排除」するものではありません。それらは、原因のある要素、あるいは、ある原因の表面的な要素を捉えている可能性はあるのです。

ところが、精神医学の身体や脳に原因を見る見方は、明らかに「憑依」という見方を「排除」するものですし、それは、一般の精神病理学や精神分析においても、同じことでしょう。

そのような「排除」こそが問題であって、そうすることでは、原因の主要な部分を見逃すことになってしまうということなのです。

 

« 設問4 精神医学も様々な観点から原因を探って行った結果、特定の原因を見つけることができなかったので、身体または脳の病気ということに落ち着いたのではないですか? | トップページ | 設問6 「統合失調の原因の重要な要素は憑依現象である」ということですが、どのような意味で、「重要」なのでしょうか? »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 設問4 精神医学も様々な観点から原因を探って行った結果、特定の原因を見つけることができなかったので、身体または脳の病気ということに落ち着いたのではないですか? | トップページ | 設問6 「統合失調の原因の重要な要素は憑依現象である」ということですが、どのような意味で、「重要」なのでしょうか? »

2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のコメント

質問の募集について

無料ブログはココログ