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2023年4月23日 (日)

「電磁波」により、「統合失調」を作り出すことは可能か

15年近く前の記事、『人工的に「分裂」を作り出すことは可能か』で、人を極限状態に置くことなどによる人工的な方法で、統合失調状態を作り出すことができるかを論じた。

結論的には、春日武彦著『私たちはなぜ狂わずにいるのか』も言うように、一時的に統合失調と類似の幻覚・妄想状態は作り出せても、継続的に、真に統合失調状態に陥らせることはできないということだった。同著書によれば、「かりそめの発狂」ということである。

そこでは、覚醒剤中毒、睡眠の極度の遮断、長期の拘禁状態、感覚の遮断などを例として挙げていたが、最近の「テクノロジー犯罪」などでも取りざたされる、電磁波による攻撃というものは挙げていなかった。

電磁波によって、脳内に何らかの「声」を聞かせる技術というものは、論理的にはでき得るものだろうし、現在では、状況とか、条件によっては、技術として実用することも、可能と言い得るのかもしれない。

しかし、たとえそのような技術があったとして、それを人間の脳に放射したとしても、やはり、「一時的に統合失調と類似の幻覚・妄想状態は作り出せても、継続的に、真に統合失調状態に陥らせることはできない」という結論に変わりはない、と言うべきである。

多くの記事、さらに前回の記事でも述べていたように、「声」というものは、単に人間の声というみかけがあるだけでなく、真に捕らわれを生む、ヌミノーゼ的な無気味さを帯びた独特のものである。また、記事、『人工的に「分裂」を作り出すことは可能か、でも述べていたように、こちらの内心の反応に応じて、的確に、効果的に、攻撃的な対応をしてくるものである。たとえ、内心の反応を、電磁波を通して読むというような技術を加味したとしても、そのようなことが的確に、継続的にできるというのは、全く現実的ではない。(たとえ、そのようなことができたとしても、真にヌミノーゼ的な無気味さは、醸し出せるものではない。)

もちろん、聞こえるはずのない声が聞こえ、それが継続すれば、かなりの混乱状態には陥るだろうし、そのことを周りの者や、精神科医にでも漏らせば、それは「統合失調の症状だ」と言われてしまう可能性はある。

しかし、それは、真に統合失調に陥った者とは、異なる反応だということである。

要は、統合失調の幻聴というものは、単に「声」を聞くだけのものではないのだが、「統合失調=幻聴の声を聞く」、と短絡的に捉えてしまうと、「声」を聞かせることで、統合失調がもたらせるというような発想も、生まれてきてしまうのだと言える

そして、それは何度も言うように、「統合失調=病気」という捉え方と、裏腹の関係にある。たとえば、「テクノロジー犯罪」を主張するような場合は、実際に、「声」を聞いている可能性が高いので、それが一般には、「病気」と捉えられることを前提にして、そうではなく、「電磁波による攻撃」なのだとする必要に迫られるのである。

無理もない面も多いが、どちらの方向からも、「統合失調の声」について、あまりに知られなさ過ぎるということを、改めて感じざるを得ない。

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