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2023年3月

2023年3月20日 (月)

近代社会のシステムと「病気」という必然性

前回、統合失調状態は、一種の「(覚めない)催眠状態」と言えることをみた。

通常の催眠ならば、催眠術士が、「3つ数えると覚める」、「手をたたくと覚める」等の暗示を与えることで、覚めることまで導いてくれる。ところが、統合失調状態では、催眠をかけた側も、こんな暗示を与えるわけがないので、自ら「催眠」に陥っていることに気づくことでしか、そこから脱する方途はない。

そのためには、統合失調状態というのが、一種の「催眠状態」で、その状況では「起こっていることが真実」としか思えないことも、暗示によって誘導されて、そのように思わされているのだ、ということを、あらかじめ、漠然とでも、知る可能性がなければならない()

周りの者にとっても、統合失調状態が、一種の「催眠状態」であることを理解できれば、必要以上に混乱することはないことになる。

ところが、このような見方を阻害しているのが、「統合失調」は「病気」であり、「精神医療によって治療すべきもの」という、一般に浸透している常識である。

この常識も、恐怖や不安に基づく、集団での一種の「催眠状態」によって、誘導されていることを前回みた。

しかし、記事『「病気」ということの「イデオロギー」的意味』などでみたように、この「病気」という見方は、近代社会が作り上げた強固なシステムの一環として、なされているものである。それは、近代社会のシステムを保持するために、強力な役割を果たしているのであり、容易には突き崩し難いものということである。

だから、近代社会のシステムにとって、「病気」という見方が「必然」であり、それを覆せば、近代社会のシステムの維持自体が、難しくなる、ということを、大まかにでも理解しなければ、「病気」という見方に捕らわれずに、統合失調の本質を理解しようとすることも、難しいことになる。

このように、大げさでも何でもなく、統合失調状態を理解しようとすること、あるいは、その状態から本当に抜け出ようとすることは、近代社会というシステムそのものを問題にすることなのだ、ということの、自覚も必要である。

そうしなければ、「統合失調」という「謎めいた病気」は、永遠に暗躍し、近代社会のシステムを裏から支え続け、本人にとっても、何とかその状態をごまかしたり、その害を弱めたりすることができるのが、関の山ということになるのである。

近代社会のシステムにとって、「病気」という見方が「必然」であることを、簡単に図で示したので、それを掲げる。

2_20230320155701

 

これまで何度も述べて来たことで、説明は不要と思うが、簡単に説明を付すると、

近代社会は、魔女狩りという悪夢の再現を阻止したいがために、それまでの文化を彩った、「オカルト的なもの」を排除するということを、基盤にしてできあがっている。だから、「オカルト的なもの」の影響をにおわせ、社会のシステムから逸脱するものは、ことごとく「排除」されねばならない。それは、社会システムを維持するための、「必然」なのである。

「医学」から借りて来た、「病気」という観念も、初めは、体よく「排除」するために便利だったから使われたものと言える。

ところが、単純に「排除」するのではなく、「病気」として社会の中で抱え込むことは、医療や製薬業界から利益を吸い上げる、支配層にとっても、大きなうまみとなるし、「排除」というあり方を、見かけ上ごまかすことにもなる。

それで、記事『精神的な「病」と「医療化」()』でみたように、「病気」ということが、単なる「レッテル」としてだけでなく、近代社会のシステムを維持するうえでも、重要な要として機能するようになったのである。

そのとき示した図を、再び掲げる。

Photo_20230320154901

 

こういったことの全体を、俎上に上らせない限り、「病気」ということに捕らわれずに、「統合失調」の理解を得ようとすることは、難しい。

しかし、逆に、「病気」ということの「イデオロギー」性や、社会にとっての「必然性」が見えてくれば、その覆いが剥がされて、「統合失調」の本質は割と見えてきやすいものになる、ということも言えるのである。

 

※ 日本でも、近代以前には、記事『「狐に化かされる」こと/一時的な「幻覚」「妄想」状態』でみたように、「狐に化かされる」ということで、こういった状態に陥ったことを自覚する方途があり、結果として、一時的な幻覚・妄想状態で抜け出ることができていた。

この「狐に化かされる」というのは、狐(という精霊的存在)に、「催眠」にかけられて、幻覚・妄想状態に陥る、ということを、端的に示すものといえる。

 

2023年3月15日 (水)

幻覚・妄想と催眠状態としての統合失調

幻覚が起こり、妄想を信じ込む統合失調状態については、「霊界の境域」に入り込み、そこから抜けられなくなるということを中心にして、説明した。

また、幻覚・妄想状態については、LSDなどの幻覚剤摂取や、恋愛妄想に捕らわれている状態が、誰もが体験できる近い状態であることを説明した。

しかし、もう一つ、誰もが連想しやすい、これらに近い、身近な例をあげることができる。それは、催眠術にかかった状態、あるいは、もっと広く、催眠様の状態である

自分自身が、催眠術にかかった経験のある人は、少ないかもしれないが、テレビのショーなどで、催眠にかかった人の言動を見たことのある人は、多いことだろう。催眠にかかった人は、催眠術士に暗示をかけられると、ないはずのものが見えたり、見えるはずのものが見えなくなったり、自分が有名人であると本気で信じて行動したり、身体の自由が利かなくなったりする。

また、催眠術士というものを通して、直接かかる場合でなくとも、被暗示性が高まる催眠様の状態というのは、比較的誰もが、日常において広くかかり得るものである。

セールスなどのテクニックや、テレビ、ネットの広告なども、人の被暗示性が高まる催眠様の状態を利用して、なされる面がある。新入社員の研修や軍隊、カルトなどの帰属意識を高める「洗脳」は、まさに催眠状態を利用してなされる。

もっと言うと、我々一般の信じる「常識」というのも、集団の中で、被暗示性が高まることで、信じられ、浸透して行くのである。

催眠状態というのは、一種の「変性意識状態」で、何か特定の事柄や人物に捕らわれ(魅惑され)、意識がそれに固定され、日常の意識が狭まって、被暗示性が高まる、一種独特な意識状態である。普段の自分からすれば、普段は抑制されて表に出て来ない、「無意識のある部分の自分」、あるいは「もう一人の別の自分」が表に出るような状態とも言える。

その状態では、通常の判断力も弱まり、普段であれば信じないようなことも、容易に信じてしまう。はたから見れば、あり得ないようなことでも、容易に信じて、実際に、行動してしまうのである。あとで、催眠から覚めたときには、本人もなぜそんな行動をとってしまったのか、とても理解できない。

催眠状態で信じることは、強い力を発揮して、忘れたはずの、幼少期の頃のことを思い出したり、通常はできないはずのことが、できたりもする。日常の自分を超えた、体験をもたらすのである。だから、自己実現のための、セラピーや、催眠療法として、病気治療に利用されたりもする。

超心理学のESPカード透視実験では、催眠状態でできると信じた人のヒット率が、有意に上がることも、確認されている。

「意識が狭まる」と言ったが、これはある意味、日常の抑制意識が緩まることでもあるので、本来の、より広い意識が表に出て来ることでもあるのである。

統合失調状態というのも、基本的に、これら催眠状態と同なのである。

催眠状態に陥っているゆえに、通常の判断力を失い、幻覚を見たり聞いたりし、普通は信じられないようなことを信じ込んでしまうということである。それが、非常にネガティブな形で現れてはいるが、「病気」などと言う必要は、まったくないのである。

ただし、通常の催眠にかかっている人は、遅かれ早かれ、その状態から覚める。戻るべき日常の自分というものが、あるのである。だから、催眠にかかって、異常な行動に出る状態というのも、一時的なもので終わる。ところが、統合失調状態に陥っている者は、長い間、その状態から覚めることができないのである。

それには、いくつか理由があって、まずは、陥っている催眠状態の性質が、通常のものより強力で、長期にわたるので、容易に戻れるようなものではないということがある。一方で、その者の戻るべき自分というのも、もともと弱いということ、あるいは、戻るべき自分が、壊れかかっていて、もはや戻れる状態ではないということがある。

通常の催眠は、催眠術士が習得した技術によって、暗示にかけることによって起こるが、一般の催眠術士は、モラルとしても抑制されていて、悪意をもって、恐怖や不安につけ込むような形で、長期的にかからせるということはない。また、人間の催眠術士では、そうしようとしたとしても、かなりの限界がある。

ところが、統合失調状態では、まさに、悪意をもって、恐怖や不安につけ込む形で、人間よりも心理操作に長け、四六時中つけまとうことのできる、「見えない」存在によって、陥らされるのである。

一般に、統合失調状態が、催眠にかかった状態と思われないのは、この点が理解されないことによっているだろう。

一般の催眠は、催眠術士という「目に見える」存在がいて、それに暗示をかけられることで生じることが、はっきり分かる。ところが、統合失調状態には、特定の目に見える「誰か」として、暗示にかける存在が、(客観的には)見当たらないのである。しかし、統合失調状態に陥る者は、自覚的に意識する場合はほとんどないとは言え、何らかのし方で、そのような存在から、悪意をもって、強力に暗示をかけられていることが多いのである。

ただ、先に例をあげたように、一般の催眠の場合も、必ずしも、催眠術士がいなくとも、暗示にかかる場合は多くある。統合失調状態の場合もそうで、強い恐怖や不安に捕らわれている場合、疑心暗鬼になって、何であれ、その者にとっては、暗示をもたらし、催眠状態を導くきっかけになり得るのである。

さらに、記事『「恐怖心」が引き寄せる現象』でも見たように、強い恐怖や不安は、自分に起こる現象そのものも、共時的に引き寄せ、さらには、「現実」そのものを変容させてしまうほどのことにもなる。催眠の場合でみたような、日常を超えた信じ難い現象が、より強力な形で、しかもネガティブな形で、起こるということである。

実際には、このような現象にも、暗示をかける他者的な存在が関わっている場合が多いのだか、必ずしも、そのような存在を想定しなくとも、強力な催眠に陥ることがあるのは、理解できるはずである。

それにしても、一般には、統合失調状態は、催眠ではとても理解できないほど、常識から逸脱しているように思われてしまう。実際、だからこそ、「病気」というレッテルが張られるのである。

しかし、先に触れたように、「常識」というのもまた、集団的に陥っている、「催眠」状態というべきものなのである。意識は、狭められ、それに強く捕らわれているから、それに反すること、そこから逸脱するものは、異常で、病的なことに思えてしまう。それを、「病気」とみなして、「治さなければならない」こととすること自体が、(統合失調とは違った方向から)恐怖や不安によって誘導された、催眠状態によって、促されているということである。

「催眠」ということを、単に表面的にではなく、もう少し深くつっこんで理解できるなら、統合失調状態も、その一例にほかならないことが、分かるはずである。

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