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2023年2月11日 (土)

「デマ」、「陰謀論」、「オカルト」、「病気」—「ワクチンの境界」と「病気の境界」

國部克彦著『ワクチンの境界—権力と倫理の力学』(アメージング出版)という本があって、ワクチンそのものというよりも、ワクチンをめぐる人々の言説や態度について、「権力」と「倫理」の観点から鋭い考察をしている。

実際、問題は、ワクチンそのものにもあるけれども、ワクチンをめぐってなされる人々の反応の方にも大きくあり、それは我々自身の自覚と考察により、変えられ得る部分なのだ。

著者は、特に、厚労省や医療機関、メディアなどによる、ワクチンの「正しい」情報とされるものを問題にする。これらには、ワクチンの効果を否定したり、疑問視する言説を、「デマ」や「陰謀論」と決めつけることで、自分たちの主張を「正しい」ものと印象づけようとするものが多くある。

実際、ネットその他には、根拠もなく反ワクチン的な言説を煽るものがあるのは事実である。しかし、これらの言説が、「デマ」や「陰謀論」と決めつけるものには、研究者がそれなりの根拠をあげて主張しているものを、明らかに含んでいる。それに対して、自分らの「正しい」とする根拠には、明確なものが示されていないのである。

そして、重要な指摘として、初めワクチンの接種は任意というスタンスであったにも拘らず、人々の大半の接種が進んで、接種者が多数になった時点で、このようなワクチンを事実上強制する方向での言説が多くなったことをあげている。

要するに、ワクチンをめぐる言説は、多数の者による、「権力」的な押しつけの要素が高まってきているのである。あるいは、あからさまに、「政治的な言説」になって来ているのである。

著者は、「権力」の問題を、フーコーなども参照しながら、全体の意思が(意識的あるいは無意識的に)作り上げた、「システム」の問題としている。個々の人間は、そのシステムに隷属するものでしかなく、表面上権力者の位置にいる者であっても、そのことに変わりはない。だから、特定の誰かが、そのような権力を維持すべく、戦略的になしていることとみる「陰謀論」とは、明白に異なるとしている。

要は、我々の恐怖や不安、欲望、自己保存等の問題なのである。

著者は、ワクチンをめぐる言説を問題としているが、実は、このような指摘は、我々の恐怖や不安、欲望、自己保存等の関わる多くの問題に当てはまるものである。

「デマ」、「陰謀論」という、マイナスイメージを喚起する、決めつけ的な言葉によって、自己の「正しさ」を印象づけようとすることは、様々な領域でなされることで、ほかにも、「オカルト」という言い方も、これに含まれる。

そして、実は、精神の領域において(実際は、「精神の領域」に限らないのだが、ここでは一応特定しておく)、「病気」という決めつけ的な対応がなされることも、これと全く同じことなのである。

多数の者が、(精神医学という)既成のシステムに則って、「病気」という決めつけをすることで、明確な根拠があるわけではなくとも、社会的に不都合な者を、隔離したり、治療(更生)させることを正当化できる。そして、そうすることで、自らが「正しい」(正常)ということを、再確認できるのである。これは、自分らに、「病気」の不安があるからこそ、そうする必要があるということでもある。()

重要なことは、それも、我々が(近代社会の)システムとして作り上げていることで、特定の誰かを問題にすれば済むというものではなく、我々自身がそれを自覚しない限り、変わりようがないということである。()

著者は、「ワクチンの境界」という言い方をしてるが、それに倣って言えば、この問題は、「病気の境界」なのだと言える。「ワクチン」は、「病気」という恐怖や不安に絡んで、なされるものだから、実際には、これらは、十分絡み合っていることが分かるだろう。

ただし、著者のように、全体としての「権力」を問題にするだけでは、抽象的で、具体的なとっかかりに欠ける面があるのも確かだろう。

実際には、人間に限らないが、特定の者だったり、存在が、このようなシステム作りに大いに関わっていて、それを維持すべく大きな働きかけをしているのも事実だから、それに気づくことで、具体的なとっかかりが見つかり、その隷属状態から離れることを意図できるという面もある。

これまで何度も言って来たことだが、我々自身の内部的な問題という面と、具体的な外部的な存在という両面から見ていくことが必要なのである。

 

※ これらのことについても、これまで何度も述べて来たので、今回はほんの要点だけしか述べていない記事としては、『「病気」ということの「イデオロギー」的意味 1,2』、『精神科に「やりたい放題」にさせた「システム」』などを参照してほしい。

 

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