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2018年12月 2日 (日)

今も生きている「山怪」

前に、記事『「注文の多い料理店」の犬の怪』(http://tiem.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-d417.html)で述べたような「山の恐るべき力」に関して、現在では、山も開かれてしまって、このようなことが起こることはほとんどなくなってしまったと述べました。

ところがどっこい、『山怪』(山と渓谷社)という本を読むと、今でも十分、「山の怪」は起こり続けて、人を惑わし続けていることが分かります。それも、山に不慣れな「素人」ではなく、普段から山を良く知り、慣れている「マタギ」のような人たちをも、惑わし続けているのです。

読んだのは大分前なので、一つ一つの話を、あまりよく覚えているわけではありません。ただ、「注文の多い料理店」のように、強烈なものはそうなかったと思いましたが、全体として、確かに「山怪は生き続けている」ということを改めて感じたのは、はっきり覚えています。

『山怪』という本は、その後3巻まで出ているし、NHKの番組でも、その体験者を取材した番組が放送されていたので、かなり多くの人が、インバクトをもって受け止めていることのようです。

昔や明治期の、「昔ばなし」や「伝説」ではなく、今現在も連綿と起こり続けている、「本当の話」なのだから、それも当然でしょう。

昨日の朝日新聞の書評にも、面白くとりあげられていたので、私は、改めて思い起こすことになりました。

私が、読んだ最初の本では、「狐」や「狸」に「化かされる」話が多かったと思います。狐は、かなりどぎつい化かし方をして、人が「害を被る」ことも多いですが、狸の化かし方は、たわいもない、いたずらのようなものが多いようです。

しかし、書評も言っているように、その化かし方は、人間の側の技術の進化にもちゃんと対応して、大がかりになっているようなのです。

今日びの狸は、なんと進化しとるんです。かつてはコンッコンッ、ひそかに斧の音を響かせて木こりを驚かせておったのに、秋田県阿仁では派手なチェンソーの音真似やドーンと大木が倒れるオマケ付き、大がかりになったもんです。岡山県鏡野町でも軽トラに化けて山菜取りを惑わせたのは狐でしょうかねぇ。

狸は、「ポンポコ」という太鼓の音を立てることで有名ですが、やはり、音で惑わすことが好きのようです。チェーンソーの音真似というと、オーストラリアの固有種で、音真似の得意な鳥「コトドリ」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、日本にこの鳥はいないはずなので、やはり「狸」の仕業なのでしょうね。

最近は、アライグマやハクビシンなどが、民家の家の中に押し寄せて来て、住みついたりして、大変なようですが、この「狸」も、最近は家の中にまで押し寄せて、活躍していませんか。私の家の中でも、ときどき「ミシッ」とか、誰もいないところから、人がいるかのような怪しい音をよく聞かせてくれるのですが。

と言っても、この「狐」や「狸」は、言うまでもなく、「精霊」としての「狐」や「狸」です。こういった存在が、「化かす」ということ自体は、昔から知られた「伝統」であり、「伝承」であって、その文化としての影響は強く残っているでしょう。だから、何か、あるはずもないものや、異常な、光や音などの怪しい現象が起きたときに、それを「狐」や「狸」のせいと思ってしまうことは、あることと思います。

しかし、「山怪」の中には、はっきり、「狐」や「狸」としての姿を見せているものも多いです。その一つに、家の近所で、狐に「ストーカー」されたという面白い話もあります。車の帰り道、家の近くで、狐がずっと、微動だにせずにこちらを見ているので、恐くなり、進路を変えて、別の道から行くと、その降り口にまたその狐がいます。で、また元の道を戻ると、林の中をその狐が走っているのが見えます。その人を、先回りして、「おっかけ」ているのです。

ドン兵衛の「どんぎつね」なら、ストーカーされてもいいけど、やはり狐のストーカーというのも、恐いものなのでしょうね。しかし、現代の人間世界の「怪」の一つとされる、人間の集団による、「集団ストーカー」というのも、実を言うと、このような、化かす狐による「ストーカー」の「進化形」とも言えるのですけどね。

しかし、全体として、「山怪」というのは、やはり、山という場でこその「怪」であり、山そのものの恐さと力を知らしめるような話も、かなりありました。

書評でも、次のように言われています。

サンカイにサンカイするサンカイにサンカイする、おっと失礼、山塊に散開する山怪に参会するには、それ相応のお作法が必要のようです。

「サンカイを三回重ねて、気分は自賛かい」とつっこみたくなりますが、…おっと三回じゃなくて、妖怪いや四回でしたね。いや、評者も、何も茶化しているわけではなくて、冗談交じりにしか語れないくらいに、これらの話の「真実味」を感じてしまっているということなのです。

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