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2014年2月 6日 (木)

「捕食者」の「精力剤」

齋藤勝裕著『毒と薬のひみつ』(サイエンス・アイ新書)は、毒や薬、麻薬などについて、一般に言われている、ほんの基本的なことしか書かれていない。が、中には、面白い記事もあった。

たとえば、精力剤に関する記事で、精力剤として、「ヤモリの黒焼き」というのがある。まず情交中のヤモリを見つけ、それを無理やり引き離して、竹筒の中に入れるが、節を隔てて隣合わせの位置においておく。そのままで数日間たったのちに竹筒をあけると、なんとヤモリは節を食い破り、情交した状態で死んでいる。そのヤモリを黒焼きにしたのが、ヤモリの黒焼きなのである。

単に、動物の亡骸ではなく、その動物が、最大限に欲望かつ苦悩して、死ぬ瞬間の「生命力」を閉じ込めたかのような、こういったものが、やはり人間にも、精力剤として、威力を持つと信じられているのだ。「精力剤」とは、単なる、物質的な成分が問題なのではなく、「情念」や「気」のようなものこそが重要だと、やはり、人間にもそれなりに感知されているわけだ。

しかし、これって、そのまま、人間と「捕食者」の関係に入れ替えてみることができる。つまり、「捕食者」にとっての精力剤というのがあるとしたら、それは、まさに、人間がヤモリに対してなした、このような残酷な行いを、人間に対してなして作られたもの、そのもののはずなのだ。「捕食者」にとっては、直に、物質的な成分ではなく、苦悩や情念によって発せられる、「感情エネルギー」こそが問題なのだから。

こうしてみると、人間も、やはり、他の動物に対しては、「捕食者」と同じく「捕食者」的な振舞いをしていることになる。ただ、自分がそうされていることに、気づかない分、よけい愚かなだけなのだ。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

そのような「人間による行い」の発想のルーツを考えさせられます。人間が先か、捕食者が先なのか、それとも他のところから始まったのか、全人類、個の私、人間全ての業を。

人間の行いは時に、恐らく捕食者的存在すら唖然とさせ目を背けさせている、

現在の人類の惨状を「自業自得」と可視不可視の自然の住人たちは冷徹に眺めているのでしょう。彼らの怨念地に満ちています。

「自分を含めて」などという生易しい認識ではなく、「自分を主犯」として突き詰めていかなければならない、怨念に満ちた世界を詫びながら元の豊かさに還させていただきたい。

偽善と分かっていてもその方向にしか自分には今を生きる術はないです。

詫びる「言葉」はもはや意味をなしません。

街路樹のちいさな鳥が鳴いています。枯れ枝が芽をつけています。
人間だけが…

みるくゆがふ さんありがとうございます。いずれまた記事にしようかと思いますが、簡単に私の考えを述べておきます。

「人間が先か捕食者が先か」ということでは、捕食者が先なのだと思います。しかし、この捕食者から受け継いだ「捕食者的な面」を、よりたちの悪いものにしたのが人間だと思います。それは、人間は捕食者に比べれば、圧倒的にものが見えないことと、「感情」という厄介なものを抱えていることが大きな理由と思います。

記事「人間的虐待」と「戦略的虐待」(http://tiem.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post-0c78.html)にも書きましたが、捕食者の「虐待」は、戦略的なものに貫かれていて、ある意味「ドライ」ですが、人間の虐待は「感情的」で、留まるところを知らないところがあります。その分、たちが悪く、どうしようもないのだと思います。その「どうしようもなさ」を捕食者もまた「楽しみながら」(みるくゆがふさんが言うように、「呆れながら」かもしれません)後押ししているところがあります。

まずは、捕食者の存在と人間の立場を知ることなくして、こういった状況から抜け出すということもあり得ないことと思います。

私も麻薬が脳に対してどのような作用をするのかちょうど調べていたところでした。
ブログを拝見していて、そのような世界とは切り離せないのがよくわかったのですが
できるだけ科学的(という書き方も真偽の余地に入ってしまいますが・・・)
地に足の着いた方法でなんとか説明できないかと試行錯誤していることがありまして、
もし参考なる本がありましたらご教授していただけないでしょうか。ジャンルは構いません。
以前ご紹介されていた呪いを解くがとても興味深かったことと
ティエムさまがこのブログで多方面から捉えられているのが大好きなので、是非お願いできればよろしくお願いいたします。

麻薬が脳にどう働くかということですが、これは『呪いを解く』の場合と違って、現在の科学的知見ではどうなっているか、ということを(表面的に)知ることぐらいしかできないと思います。何か、独特の視点から深く追求したようなものがあればよいのですが、私はそういうものは知りません。

で、私が参考にしたのは、ブログに挙げている、船山信次著『麻薬のすべて』(講談社現代新書)と生田哲著『脳と心を支配する物質』(サイエンス・アイ新書)ぐらいです。あと、たまたま、ちょうど「脳内麻薬」について書いた後に出てたので、中野信子著『脳内麻薬』(幻冬舎新書)も読みました。これは、最新の知見だろうし、どれもひと通りのことは述べられていて、それなりに面白くは読めますよ。物足りない面、つっこみを入れたい面は多々ありますが。

いずれにして、向精神薬と同じということは、はっきり分かりますね。

大変ありがとうございます!
さまざまな観点から見られるようにならないと、というのは痛感しております。
これは、という本がありましたらまた是非教えていただけると非常に嬉しいです。

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