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2013年12月25日 (水)

「病気作り」のパターン 1

前回みたように、「うつ」その他の何らかの精神的な不調を訴えて精神科や心療内科にかかる者に対して、精神薬の導入により、様々な病気を「作り出す」ことは、ほとんどマニュアル化された、パターンとなっているようにみえる。
特に、アメリカというのは、前に、催眠療法を利用した、虐待に関する記憶の回復についても述べたように、「マニュアル化」の著しい国のようである。

『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』でも、取材した患者の多くから、そのようなパターンがみえてくる。そこでは、精神薬の投与に関して、薬を促進させる「キイワード」のような言葉が、うまく配されている。

たとえば、精神的な不調を訴える者に対して、「脳内の化学物質のアンバランス」が生じているという言葉が、かけられる。これは、「精神疾患である」という言葉より、一見、マイルドで受け入れやすい言葉のようだが、これによって、精神薬の投与が、当然必要なものであるかのように促されていく。そして、「この薬の副作用は軽く、依存性も中毒性もない」と言われたうえで、「一生この薬を飲み続けなければならない」という言葉がかれられる。

一見マイルドな言葉で、早い段階から、長期的な服薬を覚悟させ、受け入れさせるようにもっていくのである。

このようにして、精神薬が導入されることから、様々な「病気作り」がなされていくバターンを、いくつか抽出することができる。ただ、これはあくまで、精神薬により、発展的に、「様々な」病気が作られていくことに注目した、バターンの抽出である。もちろん、必ずこうなるということなのではない。多くの場合は、単純に、ある精神薬により、ある病気が「慢性化」されていくことになるようである。ただし、精神薬による脳の撹乱は、事実上、どのような「症状」をも生み出せるので、逆に、可能性としては、このような病気に限られるわけでもないのである。

まず、「うつ」と診断され、「抗うつ薬」が投与される場合の、「病気作り」バターンとして、次のようなものがある。

1

「うつ病」は、かつては「躁うつ病」というくくりの中で捉えられたが、現在では、「躁うつ病」は「双極性障害」とされて、単極の「うつ病」とは区別されている。そして、その「双極性障害」は、近年爆発的に増加しているとされる。

しかし、その「双極性障害」は、「抗うつ薬」によってこそ、もたらされる場合が多いのである

SSRIのような抗うつ薬は、前にも述べたが、抑制を取り払って、興奮性、衝動性を高め、自殺や、他者に対する攻撃的、暴力的な行動を誘発しやすい。

SSRIは、伝達前ニューロンの受容体によるセロトニンの再取り込みを防いで、セロトニンの効果を高めようとするものである。ところが、「うつ」では、セロトニンが不足しているというのは、根拠のない仮説に過ぎず、むしろ逆の結果を示す研究が多い。そこで、SSRIは、本来異常でもない脳のセロトニン分泌システムを撹乱することになる。前回みたように、脳は、その補償作用として、セロトニンの効果に対抗する作用を生じはするが、結局、システムを撹乱され続けると、伝達前ニューロンの受容体が減少するということが起こるようである。それが、セロトニンの効果を異常に高め、先のような衝動的な行動を高めることになる、と考えられる。

ところが、精神科医はそれを、もともとの「うつ」が「そう転」したと捉え、「病気」は「双極性障害」だった、または「双極性障害」を発症したということにしてしまう

そこで、今度は、「双極性障害」の治療薬が投与されることになる。これは、「薬剤カクテル」とも言われるように、多様な精神薬を含むのだが、特に、鎮静効果を期して、「抗精神病薬」を含んでいるのが重要である。

「抗精神病薬」は、本来、「統合失調症」に対する精神薬である。「神経遮断薬」とも言われるように、神経の活動を抑制して、鎮静化させようというものである。具体的には、ドーパミンの受容体を塞いで、ドーパミンの作用を抑えようとするのだが、統合失調症においても、ドーパミンが過剰に働くなどというのは、根拠のない仮説に過ぎない。そこで、やはり、この精神薬の投与によっても、脳は撹乱され、受容体の増加などの対抗措置も生じるが、撹乱が続くと、結局は、システムは壊されることになる。そして、「認知障害」とも言われる、思考や感情の働きが鈍った、無気力で、荒廃した状態に陥ることになる。

ところが、精神科医は、これも、統合失調症の「陰性症状」とし、統合失調症の症状そのものとみなすことになる。この「陰性症状」なるものは、「統合失調症」のイメージとして、かつてよりかなり根強く残っているものだが(私も、そのような場合があること自体は否定しない)、実際には、「抗精神病薬」によってこそ、もたらされたものである可能性が高いわけである。

「双極性障害」の場合にも、このような「抗精神病薬」が投与されるわけで、(一時的には、鎮静化がもたらされる場合もあるにはあるだろうが)、その継続の結果として、それは「統合失調症」の場合と同じように、「認知障害」とされるような、荒廃した状態をもたらすことにもなる。つまり、「統合失調症」の「陰性症状」と似た状態をもたらすのである

このように、「双極性障害」と「統合失調症」の転帰は、非常に似たものとなる。しかし、それこそ、両者に共通して投与される、「抗精神病薬」がもたらす結果とみなし得るのである。

しかし、精神科医は、ここでも、この「症状」は、「統合失調症」という「病気」がもたらしたものとし、「統合失調症」が発覚した、または発症したとみなす。そうして、改めて、「統合失調症」の「治療」がなされていくのである。「統合失調症」が治療困難な病であることもまた、根強いイメージだが、ここまで脳を撹乱されれば、回復困難になるのも、当然のことと言わねばならない。

このようにして、一旦精神薬の投与が始まれば、「うつ病」という診断から、「双極性障害」や、果ては「統合失調症」までが、「作られ」ていくのは、思いのほか、容易なことなのである。しかも、それは、ほとんど、予めそうすべく「促されている」かのように、単純にパターン化されたもののようにみえるのである。

軽い「うつ」など、誰でも経験し得るような、不調の状態から、精神科や心療内科に関わることによって、「うつ病」、「双極性障害」、「統合失調症」などの「大層」な「病気」が、「実際」に「作られ」てしまう可能性があるということである。

次回は、誰もが、比較的導入しやすいという意味で、さらに重要な「病気作り」の元となる、「ベンゾジアゼピン」の場合、子供のADHDに投与される、「メチルフェニデート」の場合をみてみたい。

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