「病気作り」のパターン 2
人が、不安や不眠、その他の何らかの不調を訴えるとき、もっとも処方されやすい精神薬が、「ベンゾジアゼピン」である。「抗不安薬」であり、「精神安定剤」、「睡眠導入剤」とも呼ばれる。しかし、これは、SSRIにも増して、たちの悪い「病気作り」の元であり、次のようなパターンをみることができる。
ベンゾジアゼピンは、GABAと呼ばれる抑制系の伝達物質の受容体に結合して、神経活動の抑制効果を高める。それが、不安を抑え、睡眠を導入するとされるわけである。確かに、一時的な効果は高いとされているが、しかし、それだけに、その依存性、中毒性は強く、副作用や、薬を減らしたり、止めたときの「離脱症状」も強烈である。要するに、効果から言っても、麻薬と同様の作用である。
脳は、GABAの受容体の密度を下げるなどの対抗措置をとるので、薬を止めると、GABAの抑制作用が効かなくなり、異常な神経活動が生じる。それが、不安発作、抑うつ、非現実感、幻覚、妄想、けいれんなどの「離脱症状」を生じる。さらに長期的には、GABAの抑制作用の摩耗、崩壊が起こり、「認知障害」つまり、前回みた「陰性症状」と同様の荒廃した状態をもたらす。
このように、この精神薬は、イメージ的には、「軽く」「気軽に服用できる」精神薬のようであるが、実際には、依存性、中毒性も高く、その副作用と離脱症状により、ほとんどどのような「症状」をももたらし得るほど、たちの悪いものである。つまり一度、依存すれば、容易には抜け出ることができず、自ら「病気作り」のパターンにはまってしまう。いわば、「病気作りの万能薬」なのである。
実際、図にみるように、それから生じる症状で、「パニック障害」や「うつ病」または「双極性障害」、「統合失調症」などが、容易に認定される状態になってしまう。さらに、前回みたように、新たな治療薬の投与と、症状の拡大により、一層荒廃は推し進められるのである。
この薬は、単剤で処方されるだけでなく、うつ病や双極性障害などの治療薬にも併用される。つまり、どのような「病気治療」にも、「病気作りの万能薬」が紛れ込んでいるのも同然なわけである。
さすがに、ある時期から、このベンゾジアゼピンの依存性や中毒性も注目されるようになって、イメージはダウンしている。しかし、ちょうど、それに呼応するように、この精神薬の「病気作り」の役割にとって変わるような、「軽く」「よい」イメージのSSRIのような精神薬が開発されたのだとみられる。そして、そのどさくさに紛れるようにして、ベンゾジアゼピンも、精神安定剤として、相変わらず投与され続けているのである。
現在、大きくイメージダウンしたSSRIが、「うつ」を初め、多くの病気に、相変わらず処方されさ続けているのと同様である。こういった、便利な「病気作り」の元は、そう簡単には、手放せないないものとみられる。
そして、最後に、これらの精神薬は、子供、場合により乳幼児にも投与さていることこそ、真に「恐ろしい」事実である。
子供にも、「うつ病」や「双極性障害」などの精神疾患は認定されるし、SSRIのような「抗うつ薬」や、双極性障害では、多様な「薬剤カクテル」が投与されている。そして、子供の「発達障害」の一つとして、「ADHD(注意欠陥多動性障害)」があるが、これに対しては、「メチルフェニデート」と呼ばれる精神薬が、投与される。これもまた、次のように、「病気作り」のパターンを生み出す、強力な「精神薬」なのである。
メチルフェニデートは、「精神刺激薬」とも呼ばれ、伝達前ニューロンの受容体によるドーパミンの再取り込みを防ぎ、ドーパミンの活動を高めるものとされる。それが、ADHDの者の、注意や集中力を高めるとされるのである。これは、要するに、「覚せい剤」と同じ作用であり、実際、アンフェタミンのような覚せい剤と類似の構造をしている。商品名としては、「リタリン」が有名である。
かつて、うつ病の治療薬して使われたが、依存性や危険性のため使われなくなった。そんなものを、子供の治療薬として使っていること自体が、大きな驚きである。
これも、確かに一時的には、注意力や集中を高める効果はあるようだが、依存性が強く、SSRIのセロトニンの場合と同様、脳のドーパミン代謝機能の異常をもたらす。その結果、さまさま副作用と、精神的「症状」がたもらされる。
一つに、興奮性、衝動性の高まりと不安との交代ということが起こる。これは、双極性障害の「症状」そのものであり、実際、子供にも「双極性障害」が認定され、近年急激に増えたとされる。が、それは、SSRIとメチルフェニデートによってこそ、もたらされたものというべきなのである。
さらに、「昆虫や蛇、芋虫などの視覚性幻覚や触覚性幻覚」が生じるとされる。これも、「統合失調症」と認定される症状になっている。しかし、これらの症状は、要するに、「覚せい剤中毒」あるいは「幻覚性薬物中毒」の症状そのものにほかならない。
そして、この場合もやはり、最終的には、「認知障害」とされる、感情の鈍った、無気力で、荒廃した状態をもたらすことになる。
そもそも、「注意欠陥」とか「多動性」というのは、親や学校の先生、施設の管理者など、「大人の都合どおりに動いてくれない」ということを意味している。それが、メチルフェニデートによって、一時的には、「大人の都合に沿う」という意味で、「大人しく」なる効果があるとされることから、子供に「覚せい剤」同様の薬を飲ませているのである。しかし、その当然の結果として、長期的には、「覚せい剤」中毒と同様の、荒廃した状態をもたらすことになる。このようなことが、実際に、行われているのである。
メチルフェニデートに限らないが、大人ですら危険で有害な精神薬を、子供に飲ませるということは、信じ難いことである。そこには、製薬会社や精神医療ビジネスの、商戦拡大という意図の巧みな実現があるのは確かだろう。しかし、それを成り立たせているのは、「大人」一般の、(いうことを聞かない)「子供」を従順にさせたいという、強い「願望」であることも疑いない。そうでなければ、たとえ精神薬についての「無知」があるにしても、子供に精神薬か処方されるなどということが、ここまで、まかり通るはずがないのである。
そして、もちろん、そういったことは、将来に向けて、支配体制から逸脱する、あるいは、その恐れのある子供を、「排除」しようという「支配層」の意図に、十分過ぎるほど貢献しているのである。
今度は、「麻薬」一般についても、述べてみたい。
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