精神的な「病」と「医療化」(図)
『うつに非ず』では、「うつ」や「発達障害」に関して、「執病化」ということを言っていた。そこでは、「統合失調」に関しては、何も述べられていない。が、もちろん、「統合失調」にもそれは当てはまる。そもそも、精神医学は、社会の問題を精神医療の問題にすり替えて処理する、「執病化」に始まるのだから、当然である。一般には、「医療化」と言った方がいいかもしれない。
このことは、次のような図で、簡単に示すことができる。
これまでにも何度も述べてきたことだから、説明の要はないだろう。
「統合失調」のみをあげているが、それは当初から、精神医学が扱う「精神的な病」の代表であり、「医療化」のターゲットそのものだったからである。いかに、「統合失調的な状況」にある、社会から逸脱する者を、社会から「排除」して、「治療」の名目のもとに、「病院」に回収して、管理、処分していくかということ。それこそが、「精神医学」の役割である。
そこから、さまざまな精神的な「病」が拡大、発展してきて、「うつ」や「発達障害」の問題も出てきた。が、これら「統合失調」ほど「逸脱的」でないものは、本来図で「例外」と示された、「回復」の方へと回されることが多いようにも思える。
しかし最近の事情は、前回もみたように、「うつ」や「発達障害」、さらにその他の「病」にしても、より「排除」の方へと方向づけられているようにみえる。「治療」や「投薬」は、むしろ、「病」をより深刻化し、人格を崩壊させ、社会への復帰を難しくする方向に働いている。あるいは、端的に、「治療」や「投薬」こそが、回復困難な「病気」を作り出している。
それは、本来、「精神医学」が「統合失調」に対して行おうとした「医療化」に、より近づいているということである。「精神医学」のもともとの「医療化」のあり様が、よりあからさまに現れ出ているのである。
だから、図では、「統合失調」に代表させて表わしたが、このことは、あらゆる精神的な「病」にも、十分あてはまることのはずである。
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