「魔女狩り」を終わらせるには
「魔女狩り」の本質は、<誰もが「魔女」であり得るからこそ、自分ではなく、誰か他人を、「魔女」として告発しなければならない>であると述べた。
そうすると、「魔女狩り」を終わらせるにはどうしたらよいかも、自ずとみえてくるはずである。「魔女狩り」を終わらせるとは、「魔女狩り」の本質を認識すること以外にはあり得ないからである。
つまり、「魔女狩り」を終わらせるには、<誰もが、誰か他人ではなく、自分こそが「魔女」であると認識し、他人に「魔女」をなすりつけることを止める>しかないのである。
西洋で「魔女狩り」が沸騰したときも、このように認識したうえで、「魔女狩り」を終わらせる可能性はあったはずである。実際、誰もが、「魔女」として告発される可能性がある状況にまで至ったからである。
しかし、当時としては、そのような認識は難しく、結局、「魔女」というものを、「ないもの」として葬り去ることで、それ以上「魔女狩り」の拡大することを防ぐという、その場凌ぎの挙に出てしまった。キリスト教圏において、「キリスト」に背き、救いのはく奪される、「悪魔の結託者」とみなされることは、いかに重大なことを意味したかということもある。
現代では、また違った意味で、そのような認識は難しいが、実質的に、「魔女狩り」と同じものを終わらせるには、そのような認識にいたることが、不可欠のはずである。
この、<誰もが、誰か他人ではなく、自分こそが「魔女」であると認識し、他人に「魔女」をなすりつけることを止める>の、「魔女」は、前回みたように、「狂気」または「精神病」と置き換えることもできるし、「虐待者」または「虐待親」と置き換えることもできる。
「精神医学」の介入も、多くの場合、誰かの、あの者は「狂気」であるという「告発」に基づいて起こっている。異常な行動を起こした者、または手に負えなくなった者を、誰かが「おかしい」として、精神科に「告発」して送り込み、精神科医の「審判」(判断)で「強制入院」させるということによっているのである。
あるいは、自ら、「精神科」に診断を仰ぎにいく者も多いだろうが、そこにも、誰かの、「おかしい」という疑いや疑いの目、さらに、上からの事実上の「強制」という面が、あることは多いはずである。(さらに言えば、自ら「精神科」に診断を仰ぎに行くことは、「教会」に懺悔を乞いに行くことと似ていなくもない。)
「児童相談所」の拉致については、虐待の疑いの「通報」=「告発」に基づいてなされることが多いのは、前回みたとおりである。
これらもまた、「魔女狩り」同様、自分こそが、「狂気」または「精神病」であると認識して、あるいは、「虐待者」または「虐待親」と認識して、他人になすりつけることを止めることでしか終わりようがないのである。
これらのことは、絶対に、何らかの措置が必要でないのに起こっている、とまでは言わない。しかし、多くの場合、「必要性」そのものよりは、本来自分が内に抱えるものへの、恐怖や嫌悪感から、そういった者を、どこかへ葬り去りたいという意志に基づいていることが明らかである。要するに、「排除」の意志である。
また、たとえ、何らかの社会的措置が、どうしても「必要」という場合でも、<誰もが、自分こそが「狂気」なり「虐待親」であると認識する>意識があれば、そのような手続には、極力慎重になるはずだし、自分自身の問題として、ただ何ものかに「丸投げ」しようとするのではなく、あとあとのケアにも注意が届くようになるはずである。
このように、自分こそが、「狂気」や「虐待親」と認識することは、自分が「魔女」そのものと認識することほど、難しいことではないかもしれない。「魔女」そのものよりは、受け入れやすい事実ということであり、その意味で、かなり現実味のあることともいえる。しかし、私に言わせれば、本当に、「魔女狩り」が終わるには、自分が「魔女」そのものである、との認識にまで至らなければ、あり難いのである。実質「魔女狩り」と同じものの根底には、やはりこの「魔女」そのもののなすりつけが、横たわっているからである。
いずれにせよ、「魔女狩り」は、その現実の執行者は「権力的な組織」であるにしても、一般の多くの人々の「告発」により始まる以上、それが終わるには、そのような多くの人々による、意識の改革から始めるしかないはずなのである。
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コメント
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簡単に言えば、製薬会社ですね。利権の構造ですな。
投稿: アホです。 | 2013年3月20日 (水) 14時27分
もっと簡単にいえば、我々人間自身ということです。「排除(告発)」の構造です。
投稿: ティエム | 2013年3月20日 (水) 21時33分