「霊的なものの影響を受けて混乱する」ということ
「統合失調」や「解離」は、簡単に言うと、「霊的なものの影響を受けて混乱」している状態ということができる。
但し、「霊的なものの影響を受ける」とは、非常に広い範囲のことを意味している。「憑依」のように、主体そのものを「乗っ取られる」ようなものも含めば、思考や感情、意志において、影響を受けるという程度のものも含む。
「霊的なものの影響を受ける」ということ自体、(そんなものはないと思っている人はおいても)、そのようなことは特殊なことだと思っている人は多いはずである。
しかし、まずはっきりさせるべきは、「霊的なものの影響を受ける」ことのない人はいないということである。さらに、私に言わせれば、現代では、「捕食者」の影響を受けていない者などはいない。
つまり、「霊的なものの影響を受ける」ということは、誰にも、しかも、しょっちゅう起こっていることであり、そのこと自体が、特に問題となるわけではない。「憑依」のような、主体を「乗っ取られる」ということも、決して、珍しいことではない。飲酒時や、怒りの状態のとき、あるいは、集団的に興奮したとき、恋愛状態など、さまざまにこのような「憑依」の状態は起こる。
このような「憑依」は、ある程度の時間継続することを想定しているが、一時的な「憑依」となると、もっとしょっちゅう起こっている。
一般に、「憑依」というのは、「憑依」する側が、「訳が分からなく」なって、迷い、混乱しているからこそ、人の身体に長く止まることで、安心を得ようとすることから起こるものである。しかし、そのような「迷い」からではなくとも、一瞬の波長の「共鳴」や、戦略的意図から、一時的な「憑依」が起こることは、しょっちゅうある。
ましてや、思考や感情、意志において、影響を受けるということは、誰にも、一瞬、一瞬起こっていることである。ただ、普通は、それが、自分自身のものでなかったと感じることが、少ないだけである。(むしろ、そのようなことが日常化していれば、それが自分自身のものであったと、当たり前のように思うことになる。)
だから、「霊的なものの影響を受けて混乱」している状態というのは、「混乱」ということの方に重点がある。この「混乱」ということがなければ、「霊的なものの影響」を受けていても、特に「問題」とはならない。「病的な状態」とされるのは、このような「混乱」があるからである。
「混乱」というのは、そのような「霊的なものの影響」が、違和感として自覚されて、自分の中で、苦痛や苦悩になっているということである。あるいは、そのような「影響」が、社会との関係で、何らかの「齟齬」を来して、どう振る舞っていいか分からなくなっているということである。
つまり、これには、大きく二つの面がある。一つは、その者が、「霊的なものの影響」を受け易いということ、そして、そのような「影響」を、敏感に感じ易いということである。それがために、それを違和感として自覚し、苦痛や苦悩に陥り易い。「霊的なものの影響」を受けていても、その度合いが強くなかったり、それを違和感として自覚する敏感さがなければ、特に、「混乱」に陥ることはない。ただ、周りの者が、あまりに迷惑に思えば、次のように、社会との「齟齬」を来すことがあるというだけである。
もう一つは、そのような「影響」が、社会と「齟齬」を来すということである。「霊的な影響」を受けていても、それが「社会」全体の方向に沿うものなら、周りの者と同じ状態になるのだから、「混乱」に陥る必要がない。たとえば、現代では、「捕食者」の影響を受けて、攻撃的になったり、陰湿な「いじめ」をする方が多数派である。逆に、その被害者の方が、社会的には、「齟齬」を来すということになり易いだろう。
あるいは、そのような「影響」が、社会的に許容されているものであれば、特に「齟齬」は生じない。先にみた、飲酒時や、怒りの状態のとき、あるいは、集団的に興奮したとき、恋愛状態などの「異常な行動」は、そういうものに入るだろう。但し、それも、度を超せば、「齟齬」を来すことはある。
結局、「病的な状態」とは、そのような、「混乱」であり、「社会的な不都合」なのである。あくまで、そのような「混乱」や「不都合」は、社会との関係で生じるものに過ぎない。社会全体が、どのようにあり、どのようなことを「正常」としているかとの関係で、「不都合」ということも生じるのである。
「霊的なものの影響を受けて混乱」するのが、「統合失調」や「解離」であると言った。が、「霊的なもの影響」が、「特殊」なことなのではない こと。「混乱」というのも、結局は、その者のあり方や、「社会」との関係で起こることであるのを、確認してみた。
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