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2008年7月 2日 (水)

『恐怖を超えて』-捕食者的な「精霊」

次に、2ドン・ミゲル・ルイス述恐怖を超えて(コスモス・ライブラリー)について。

ミゲル・ルイスは、ドンファンと同じく、トルテックの伝統を引き継ぐシャーマンである。『4つの約束』という著書は、割と知られているようだが、この『恐怖を超えて』は、ネルソンという人が、ミゲルの言葉を編集したものである。これには、『4つの約束』にはあまり表れていない、「秘教」的な内容も、かなり詰め込まれている。

そこで、ドンファンのいう「捕食者」と、「外来の心」に類似の事柄が述べられている。

ただし、ドンファンがいう「捕食者」とは、肉体を持たない「非有機的存在」のうちの、ある特定の存在を意味していた。ところが、ミゲルは、「捕食者」という特定の存在ではなく、「盟友」と呼ぶ「精霊」または「神々」一般が、人間に対して、「捕食者」的であることを述べているのである。

たとえば、

「盟友たちは脳を欠いている。それは彼らが感情をつくりだす機能をもたないことを意味するが、自分の生命を維持するためには感情のもつエーテルエネルギーを必要とする。人類は牛が人に対してもつのと同じ関係を彼らに対してもっている。……
感情エネルギーは、私たち自身の心と、盟友たちまたは神々のための食糧を供給する。私たちはまさに神々の資源なのである。
盟友たちは人間に心の傷を作り出すよう仕向けるが、それは彼らが食糧とする恐怖を作り出すのが目的である。私たちは生まれつき、自分の夢を通じてこれらの神々によってある程度コントロールされるというハンディを負っている。……
盟友たちの圧制に抵抗するには、あなたはかれらに気づかなければならない。」


               『恐怖を超えて』 p.2~3


「精霊」または「神々」一般が、人間に対して、「捕食者」的であり、人間に「心の傷」を作るよう仕向けるというのは、かなり衝撃的なことかもしれない。しかし、いくらかの「精霊」的存在と接した私も、これには、頷かざるを得ない。(たとえ、キリスト教的に「天使」などといっても、そのような面がないとは言えない。さらに言えば、ドンファンも示唆するように、創造者である「神」そのものにすら、そのような面は否定できないのである。)

「精霊」または「神々」も、何らかのエネルギーの供給を必要としていることは、「捕食者」と同じであり、「心の傷」というのは、それらの存在にとって、人間に対して影響を及ぼそうとするときの、最も強い「とっかかり」のようなのである。

ただし、そこには、「捕食者」の場合とは、多くの違いがあるのも確かなことなので、その点は、後に述べる。

また、「外来の心」に類するものとして、「パラサイト(寄生体)」ということが述べられる。これは、やはり、人間に苦悩や葛藤をもたらす、「心」そのもの(または一種のエネルギー体)のことである。

これも、否定的な感情によってエネルギーを補填され、ウイルスのように、増殖するとされる。また、その心を人格化して表すならば、「裁判官」と「被害者」の2つに大別できる。「人を裁く」こと、または、「自己を被害者に仕立てあげること」が、その主要な性質なのである。それは、そうやって、人を「地獄的現実」に縛りつける。

『4つの約束』でも、この「パラサイト」が作り出す「地獄的現実」を、いかに脱するかがテーマとされていたが、それが、どこからくるのかについては、ほとんど触れられていなかった。ところが、この本では、それが「精霊」または「神々」によって、作り出されたものであることが、はっきり述べられる。そもそも、「パラサイト」(寄生体)という言い方自体が、それが「外部」から来て、人間に「寄生」したものであることを、示している。

たとえば、


「裁判官、犠牲者、そして信念体系または地獄の書が、一緒になって私たちの心の中に一匹のパラサイトを生み出す。そのパラサイトはエーテル的エネルギーでできた一個の生きた存在である。生き延びるために、そのパラサイトは人間の脳によって作られる感情を食糧とする。」            
    『恐怖を超えて』 p.91

「裁判官と犠牲者が神々によって私たちの意識に押し付けられた。……神々はどの子供も経験する飼い馴らしのプロセスの間に人間精神を侵略する。……神々は不正の感覚をしみこませようとする。それは精神を傷つけるナイフのようなものである。」 
   同 p.9

「バラサイトは、内なる子供と呼ぶことができる。……
私はまたパラサイトを、ルシファーまたはチャレンジャー、あるいは濃密な物質の中に入って自分が神的なものであることを忘れた最高位の天使として描写することもできる。」

                       同 p.263

ドンファンでは、「本来の心」と「外来の心」の2つ心が、葛藤と矛盾をもたらすとされた。が、それは、「外来の心」を「捕食者」からくるものに、集約したからである。ミゲルのいう、さまざまな「精霊」、「神々」によって作り出された「パラサイト」は、むしろ「複数の心」ということができる。(人間の他者の個人的または集合的な「エレメンタル」(想念)も含めれば、さらに「雑多」な心となる。)

実際、ミゲルも、そのような「心」は、「ミトーテ」という儀式にたとえられるとしている。「ミトーテ」とは、たとえば、幻覚性植物などを服用したときに現れる、「千人が同時に大声で(意味のない)話をかわす」というような、「混沌」そのものの状況を表している。(これは、まさに、「分裂病的状況」で現れるものそのものでもあるが。)

ただし、それは、否定的な意味ばかりではなく、日常的には、一見「統一」を保っているようにみえる「心」の本性を、如実にみる体験として、肯定的な意味でも言われている。そのような心の本性を自覚しない限り、それを超えようという意図も生じようがないからである。

ただ、この「複数の心」という面を強調することは、心の一貫しない、分裂した状況を言い表すには、適当かもしれないが、問題の焦点をぼかしてしまうところがある。ドンファンは、「外来の心」を、「捕食者の心」に集約することによって、単純化はしつつも、問題の焦点を明確にし、鋭く絞り込んだのだと言える。

ドンファンのいう、「捕食者」そのものと、ミゲルのいうような、「捕食者」的な性質を有する「精霊」一般との関係も、ほぼ同じように解することができる。「精霊」一般に、「捕食者」的な性質があるのは確かだとしても、「捕食者」というのは、専らその性質を強く、鋭く体現する存在として、やはり「特別」なのである。

具体的には、私は、次のように対比できると思う

「精霊」一般も、確かに、人間の否定的な感情、特に恐怖の感情を「捕食」する。しかし、肯定的感情(たとえば喜び、高揚感など)を好むものも多いようである。「精霊」一般は、人間の感情的エネルギーを「捕食」するにしても、特に否定的な感情に絞るということはなく、その時の状況で、いわば気まぐれに「捕食」する。

しかし、「捕食者」は、明らかに、否定的感情それも特に「恐怖」を、いわば「主食」にしているのであり、他の感情を「食う」としても、それは、あくまで、それを際立たせる、「おかず」のようなものとしてなのである。そして、「捕食者」は、人間に、そのような否定的感情を作り出すために、組織的、体系的に、戦略的手段をもって当たっている。

さらに、同じようなことだが、「精霊」一般は、特にその「捕食」のために、人間を組織的に管理・支配するというような発想には立ってはいない。しかし、「捕食者」は、明らかに、人間を組織的に管理・支配することで、その目的を達しようとしている。少なくとも、主観的には、彼らが人間を管理・支配するという意味で、上に立つものと自覚していることは、明らかと思われる。

そういう訳で、「捕食者」を捉えるうえでも、ミゲルも言うように、「精霊」一般の「捕食者」的な性質を無視することはできないのは確かだといえる。つまり、「捕食者」に限らず、人間の、そのような存在一般に対する関係というのは、決して「容易」なものではないことは、はっきり押さえておかなくてはならない。

しかし、やはり、我々の現実の「心」の問題をはっきり浮かび上がらせるのには、より強力かつ組織的に人間に関わる、「捕食者」に問題を絞るのが、適当と思われる。あるいは、それによって、十分、「精霊」一般の問題も含ませることができるのである。

そこで、そのようなことは一応押さえたうえで、これ以後も、問題を「捕食者」に絞って述べることにする。

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